東京・神奈川を中心に活動するヒップホップ・グループCBSオフィシャルインタビュー公開
2018-03-29 18:00
新曲「Stay Up All Night」を4/4(水)にデジタルリリース&MV解禁予定!
そして過去作が一挙に配信スタート。
..など等、気になる話題だらけの東京・神奈川を中心に活動するヒップホップ・グループCBS。そんな彼らのこれまでの活動を綴ったインタビューが公開!
どこまでも自然体なメンバーの魅力に迫る。
-まず自己紹介をお願いします。
Takaya(以下、T):Takayaです。CBS結成時のオリジナル・メンバーは俺と、上野(Kyon;文中ではキョンちゃん、又は上野)と、今日は居ないけどサトシ(sts)。
-Chicken Is Nice(以下、CIN)との出会いは?
Kyon(以下、K):まずCINのメンバーを紹介すると、ベースがキリト、ギターは小山、ドラムがRyo Takahashi、キーボードにESME MORI(エズミ・モリ)。
Ryo Takahashi(以下、R):CINの前に、俺は別のバンドでドラムをやってたんだけど、イソさん(supple)が実家に帰るんで俺がバックDJになった。それが2012年くらい。
-過去の音源を聴き直すと、知らない声も混ざってるよね。
R:少し前だとイソさんの声や、illsugiの声なんかも出てくるし。
-そのあたりの繋がりは?
K:イソさんかな。イソさんは前に出ない人だけど、現場に行くと「イソさんイソさん!」って皆が寄ってきて。もう本当に、イソさんのお陰だよ。
-ピスタチオスタジオを始めたのも、イソさん?
T:イソ君の家でピスタチオをよく食っててて、つけた名前でね。ま、それだけだね。
K:ほら、グループ作ったらクルー作るっていう流れ、あるじゃん。そうゆうのに俺らも憧れててさ。それからBashoとかが加わって。
Basho(以下、B):自然に遊ぶようになったとはいえ、イソさんがやっぱきっかけだよね。
-Basho君はCBS以前、どうに活動してたの?
B:俺はFamilyとかでソロでやってた。その時はビートも自分で作ってラップしてて。イソさんがその時の俺の事を知っててくれたらしくて、「Bashoのビート、かっこいいじゃん!」「じゃあ、こんど家に行きますよ」なんてね。ちょうど俺も、ソロで上手くいかないなって時期でその時にCBSと一緒にやるようになって。
-後から入ってきたメンバーとは思えないよね。Basho君のラップが真ん中にあって、Takayaの太いラップとKyonのふわりとしたラップが対象にあってバランスが取れている。
R:『裏CBS』ってやつあるじゃん? あれにBashoが入ってるんだけど、『2010-2011』のあたりからBashoは居たんだよね。
K:グループにはなってなかったけど、ピスタチオ スタジオに来てRecして、ライブもCBSとしてやってたよね。曲作りも皆一緒にやったのが『ピスタチオ EP』。あれは今の原点。
-本題だけど『ピスタチオ EP』の反響が良かったじゃん? なぜあの流れでCDを作らなかったの?
R:あの時はまだ俺ら自身があまり必要としてなかったからさ。だって曲を作ってBandCampで配信できんじゃん。それを誰かに流通を任せる必要があるのかなって。
き:ま、カッコよく言うとそうだね。単純にさ、「俺ら音楽でガンガン売れようぜ」っていうよりも「反響が得られたら別にそれでいいじゃん」なんだ。BandCampの反響とか嬉しかったな。
-じゃあ、『classic brown sounds』をCDで作ったキッカケは何だったの?
K:徐々に俺らの周り、Ryoにしても、自分のスタイルを守りながら色々な人に楽曲提供して活躍してきて、内向的な俺らは背中を突つかれたっていう感じだよね。また、BandCampで出しすぎて、「逆に俺らはこのままなのか…」っていうのも感じもしてたし。
R:俺は実は『Town』の時から盤を出したいと思いはじめてた。ただ、盤を出すならもっと名が広がってないと駄目だと思ってたから『Town』はフリーにした。
B:Ryoの中では作戦があったんだね。
R:そう。今までとは違うよって思ってた。勿論俺がフリーにしろって決めたわけじゃないけど。
-今回アルバムにテーマはあったの?
K:アルバムを作る、という事くらい(笑)。
R:今までは1曲を作る意識だったけど、アルバム全体のバランスを考えた。
K:そそそ。普段だと同じような曲調が並んでても何も思わないけど、アルバムって考えると意識的に違う曲をつくってた。ただ、新しい事は何もしてないね。
-そこが俺は凄いと思っていて。というのも、過去の曲を聴いてもスタイルも質も昔からブレてない。だからこそ聞きたいけど、何に憧れてラップはじめたの?
K:憧れか…。
(全員黙る)
-…大体あるじゃん。誰かの真似とかさ。
T:すこし違うかもしれないけど、俺にはある。中学校の時に、よく行ってた町田の服屋さんに、ザ西海岸みたいなラッパーがいて、その人がフリースタイルしてくれたんだよ。当時俺は中2なんだけど、それがすっげぇっカッコよくて。それで俺もラップやりたいと思った。
B:俺はバンドをやりたかったけど、メンバーが居なかった。だから独りでできる音楽っていうとラップだった。
K:俺は憧れ、無いかな。tvkでZEEBRAとか餓鬼レンジャーとかのPVを偶然観た時にハマってさ。でも、憧れたっていうより、カラオケで歌うと盛り上がるのが嬉しかったってところかな。
-カラオケで盛り上げたいっていうのは、初めて聞くタイプのエピソードだわ(笑)。
K:当時タカヤは結構ヤンキーだったけど、俺ら遊ぶようになってさ。それでタカヤ覚えてる?「俺のお勧めする曲、MDにして上野の家の植木のとこに置いといたから」って、植木に降神の入ったMD置いとかれて。
(一同爆笑)
-とはいえ皆、小さい頃にポンキッキーズで無意識にスチャダラパーを観て、小中学生でbeatmaniaやパラッパラッパーをやった世代でしょ?
B:そうそう。俺らポンキッキーズ世代は、なんかヒップホップみたいなのが身近にあったような気がするね。今思えばDA PUMPだってNew Jack Swingだし。あと、俺はSOUL SCREAMのE.G.G.MANが凄い好きだった。DJ CELORYのサンプリングも好きで、そこからヒップホップだけを聴いてラップしちゃいけないんだなって感じ取ったし、色々な人にもそう言われた。
-でも、本当に最近まではヒップホップって暗黙のルールが存在してたよね。
T:わかるよ。それはそれですげえ格好良かったけどね。やっぱ相模原のイベントとか行くとラッパーとか怖くてさ。
K:俺ら結局、挫折しちゃったんだよ。途中で「あぁ、俺はこうゆう人にはなれない。だって仕事しちゃってるし」って。その挫折はでかいね。
B:それに、雰囲気としてはWu-TangとかよりはThe Pharcydeとか、Jurassic5、Hocus Pocusが好きかな。
K:Bashoはそうゆうのを知ってるから、胸を張ってやれたんだね。俺は、「なんで俺らはダメなのかなぁ」って思ってたんだよね。
-でも、最近は逆にヒップホップ的なものに染まりきれなかったアーティストの方が、シーンを盛り上げてる気すらするよ。
K:だから多分シティ系とかって言われたりするんだけど、根本としてはなぁ。まあ、いいんだけどね。
T:むしろ斎井からして俺らはシティ・ヒップホップってやつになるの?
-なると思う。ただ、生活を生々しくリリックにしてないのに、音楽を通して「この人達って普通の生活をしてる人っぽいなぁ」と想像させる力がCBSにはあるよね。それがよりCBSの音楽を好きにさせるというか。
T:等身大ってことだ。
-だからこそ、どうに曲をつくるのかを知りたい。アンダーグラウンドのラップでも、ヤサに集まって色々吸って…とかとは違うタイプのヒップホップじゃん。
T:一時期そうゆうのも頑張ったんだけどね!
B:友達と遊びたいけど、ただ一緒に居るだけもつまらない。俺らはラップするっていうのが遊びの理由っていう感じ。だって集まれるし、下手でも楽しいし。
K:元々俺らの楽しみはイソ君ちで録ったラップを、帰りの車で聴く事なんだよ。
T:そうそう。みんなそれ大好きだわ。その日の映像がすごい浮かぶんだよ!そう考えると、俺らも十分格好いい事やってるじゃん。
K:去年の12月31日だって、ピスタチオの納会をしてたら皆がワナワナしてきて1曲録った。でも俺らの録音には「静かにして!」とか無いから。どんちゃんやってる横に、マイクスタンドを置く。その時が不思議と良いのが録れるんだよね。
-じゃあリリックを用意してきたりは無いんだ。
K:あんまり無いね。でもみんな仕事とか生活しながらラップする目線があるよね。
-よく続けられたよね。売れる事を目指してなくても、音楽を辞めちゃう人は多いじゃん。
B:ただ偶然、楽しくできただけだよ。
K:なんでタカヤは俺らが続いたと思う?
T:俺の中で、2個あるねぇ。まず、ラップをしたいから。好きだからだね。2つ目が、俺らが友達から入ってるからなんじゃないかな。ファミリーとして常に一緒にいるから、それが当然になったんだよ。
-あと、CBSは言葉選びが独特じゃない?どことなく、リリックにインディーズ・バンド感があるとおもう。
K:俺は結構地に足を着けないほうだけど、タカヤは歌詞が地に足が着いてるよね。
R:身内に対してラップしてるからさ。身内に笑われるのが恥ずかしいから、めちゃくちゃ調子乗った事を言うと恥ずかしいでしょ?「お前そうじゃねーじゃん」って笑われたら嫌でしょ?
K:それこそMCネームをどうしようかなって思ってさぁ。斎井だってこれで俺らのCDに書いてある名前が知らないメチャメチャな名前だったら苦笑いするっしょ(笑)。
T:また、俺らは捻くれてて、そうゆうのをちょっと馬鹿にしてる面もあんだよね。俺らのリアルじゃねーもん。
K:俺らなんだかんだヒップホップに準じて色々やったけど、その結果タカヤの言うように「それってリアルなのかな」って。ほら、俺らスタートは友達だからさ。これがラッパー同士の集まりなら、お互いの過去や生活が見えないじゃん。俺らが一番気にしてるのは、(テーブルを指さして)ここだからね。ここには嘘をつきたくない。
-いつも曲にテーマを決めたりはするの?
K:ビートに対して一番最初に反応した奴のリリックがトピックになる、かな。
B:テレパシーなんて実は内容がバラバラだもん。
T:実際曲を聴いてみるとさ、俺らですら結構何言いてぇのか全然わかんねぇよ。
B:でもさ、聴く人がそれをそれぞれに意味を見出すよね。
R:そう、俺はヒップホップにハマった事もないし、高校のときとかは意識的に排除してたくらいなのね。けどヒップホップに関わりだして、本当におもしろいのはそれだと思う。だって、本当のリリックは筋が通ってなくても、聞き間違えも含めて自分で補完して筋を見出しすわけでしょ。それが本当におもしろい!イベントの特典でJABBA DA HUTT FOOTBALL CLUBが「テレパシー」をカバーしてくれたけど、結構リリックを間違えてたりするのね。ポップスでは歌詞の間違いなんてあり得ないのよ。でも当人の中では色々と想像して、間違った歌詞でも成立している。CBS本人としては、ちげーよってなるけど、それが面白いなって思う。
B:でもね、我々だって英語のラップ、厳密に歌詞や意味わからないしね。
-洋楽あるあるだけど、瞬間だけ歌詞の英語がわかっただけで、勝手にどうゆう曲なのか解釈したつもりになったりね。
K:実は全然違う曲っていうね!あるある!
R:そうそう!それがおもしろいなーって思うね。
K:CBSの曲の作り方で言えばね、タカヤはリリックに精魂を詰めるタイプ。俺はそんなことなくて、ビートを結構選ぶタイプ。
B:それでもね、キョンちゃんは歌詞が陳腐にならないんだよね。
-本人を前にして悪いけど、他の人が言ってたら「?」ってなりかねない事もキョンちゃんはリリックで言ってるんだよ。でも、不思議と大丈夫なんだよね。
R:”ヌードルのよう熱いうち、ふぅふぅ”とかヤバいよね!(笑)
K:後から聴いて自分でも驚く時があるくらい。でもやっぱ、こいつらには嘘はつけなくて、俺はやっぱエモいんだよね。
-タカヤはどういう風にリリックを書くの。
T:俺は音楽はグッと来るものでないとって常に思ってるのね。俺はフロウとかではアプローチできないから、グッとくる事を言いたい。
-「White Tree 2011」なんて歌詞を全部を書き起こして記事に添えたいくらい俺は大好きだよ。
R:結構2人が食らいすぎて、後に続くことを書けなくなる時あるもんね(笑)。
T:でも俺が特別そんな感情をもってるわけじゃなくて、皆が同じ感情を持ってる。竹原ピストルと同じことを、当たり障りなく言ってる人って絶対いるじゃん。俺は竹原ピストル的な泥臭さが好きだから、そうゆう風にやる。
-Basho君は?
B:自分でやってて楽しい韻の踏み方だね。ビートがこう来たら、こうにラップしたら楽しいなって。そうにやれたらいいんだけど、歌詞に意味はあるべきだし、なるべくラッパーの人が言わない事を言いたい。
R:だから、タカヤはリリック、キョンちゃんは曲、Bashoはラップとして気合入れてんるだよね。
T:良いまとめしたわ!
K:そりゃ良いグループだわ!
B:タカヤのリリックは社会人な男が食らうと思うのよ。俺も食らう事がある。だから俺は、また違った状況の人を思い浮かべて書いてみてる。
K:そう考えると俺が一番自由というか、楽なんだよね。
T:でも全曲フック作ってるのは上野じゃない?
R:キョンちゃんの歌詞はね、抽象性が凄い高い。ふわっと、甘い事を、他の人が言うと恥ずかしいような事を言えてるんだよ。
B:キョンちゃんのセンスは2000年代の宇多田・Misia世代だなって凄い感じるよね。「それあったわ!」という引き出しを沢山持ってる。変な話、すごい助かる。
-ちなみに、皆仲がいいけど、CBSを離れて独り歩きしたい気持ちはないの?
R:ソロを出したいっていう気持ちはあるでしょ?
B:あるある。
R:けど独り歩きしたいって気持ち、ある?
T:1人でライブしても、他の人と絡みたいってのは俺は一切無いね。
K:俺も独り歩きを望んでない。だけど、今までCBSで曲を作る時に、お互いそうかもしれないけど、俺が他の2人をセーブさせちゃった気持ちもある。2人で突き進んで1曲にした方がいいんじゃないか、と思っても今回はCBSとして作るから、全体のバランスを考えて2人の個性を薄める言葉を使ったりね。だから、今度はお互いが全くセーブされない、突き抜けたEPをやりたい。もしかしたらCBSよりバッチリ来るとかもあるかもしれない。
-とことんやり込まないと、見えてこない事ってあるもんね。
B:リリースしてみて見えてきたことってあるよね。
T:俺はまだわっかんねぇな、それ。
K:CBSを向こう何十年も続けていきたいなって思えばさ、次のアイデアに溢れてたいじゃん。それに、そうじゃなきゃできないじゃん。
B:40になってもヒップホップが似合う日本になっててほしいなって思う。ヒップホップはもうなってるか。
K:長く音楽と付き合いたいよね。スタンス変えずに。
-ライフワークとしてバンドは認知されてるけど、ラップはまだ根付いてないもんね。
T:俺らが強いのはナチュラルにできてる事だからね。大体俺らの年代になると、仕事・家しかなくなって、遊ぶって言ったらバーベキューぐらいじゃん。それを俺らは音楽ができる。それって良い事かなっておもう。
K:そうだし、俺らは身の丈に合ったことしかやってないから、40,50になったところで無理する事なんて皆無だよ。
text & interview by斎井 直史
【CBS (シービーエス)Profile】
楽曲制作、レコーディング、ミックス、マスタリングまで行う、ピスタチオスタジオに所属し、2005年神奈川を拠点に活動を開始。東京・神奈川を中心にライブ活動をしながら、
2012~2017年にかけ、bandcampにて5作品を発表。2016年より ピスタチオスタジオのハウスバンド「Chicken Is Nice」を従えバンドセットを始める。同年、雑誌
「warp」で”地に足の着いた普遍的 な魅力を持ったヒップホップ”としてpick upされる。2017年7月に初CD化自主制作『Classic Brown Sounds』をリリースした。
【Release Info】
アーティスト : CBS (シービーエス)
タイトル : Stay Up All Night (ステイ・アップ・オール・ナイト)
発売日 :2018/4/4(水)
価格:¥250
レーベル: Pistachio Studio / Manhattan Recordings
仕様: デジタル
■Stay Up All Night iTunesプレオーダーリンク
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■過去作配信リンク
タイトル : Classic Brown Sounds
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タイトル : member’s requests 2009-2017
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